付け焼き刃な33日間の物語
ドーケイ、ホーテイ、クソメン割田の実録
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夜の湖もキレイだなぁ。
割田がいつも走るのは、湖を囲んだ1周6キロほどの公園だ。
外灯が少なく道が暗いので以前は夜にここを走らなかったが、
登山用に買ったヘッドライトを腰に巻いて夜でもここを走るようになった。
割田が走っていると後方からたくさんの話声が聞こえてきた。
しばらくするとその集団が割田を追い抜いていった。
どうやらランニングクラブのようで、10人以上はいただろう。
そのランニンググループはいかにも楽しそうだった。
またしばらくすると後方からかなり大声の歌声と笑い声が聞こえてきた。
自転車に乗った女子高生2人で、1人がドレミのうたを歌っていた。
どうやら誰かのモノマネしながら歌ってるみたいだったが、
割田には何が面白いのかさっぱり分からなかった。
ただ、その女子高生2人はいかにも楽しそうだった。
家に帰ったあと、割田が愛聴するラジオ番組であった内容を思い返していた。
複数の人間が集まって楽しそうに会話している。
他人からしてみると、話の内容が全く面白くないけど、
そのグループはゲラゲラ笑っている。
こいつら面白くねーな。と見下すけど、楽しそうなグループを見て、
ひとりぼっちの自分を棚上げしてるだけ。
結局はかまって欲しいんでしょう。
走らない人にとっては何十キロも走るなんて気がしれないだろうし、
走る面白さなんて分からないだろう。
でも楽しそうに走ってる集団を見たら、あの人たち楽しそうだなぁ。ぐらいは思ってくれるだろう。
ところで、ひとりで走ってる自分は、はたして楽しそうなのかな?
がんばって走ってる自分は、はたして楽しそうなのかな?
普段は考えないようなことだが、この日は割田の頭のなかをめぐっていた。
つづく
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